スペース


スペースというと自陣で駒が自由に動けるマスを想像されるかも知れませんが、実際には支配しているマスのことです。

相手陣地で支配しているマスの数が多い方がスペースで勝ってます。
まずスペースの優劣を見分けられるようにしましょう


1.e4 f6 2.Ne3 e6 3.d4 b5


上図の局面でスペースを比較します。相手陣地で支配しているマスの数を数えます。

白 ( 5th ~ 8th ランク ) 8マス: a5,、 b5、 c5、 d5 x 2、 e5、 f5 x 2 
重複しているマスもそれぞれ数えます。
こちらが支配しているマスを相手が支配していても関係なく数えます。
支配しているマスに相手の駒があっても数えます。例えば上図で Bf1 の利きが b5 に及んでいるので b5 は支配しているマスの1つとして数えますが、a6 は b5 ポーンがあることで Bf1 の利きが及んでないので a6 は数に入れません。

黒 ( 1st ~ 4th ) 5マス: a3、 a4、 b4、 c4、 e4

白の方が相手陣地で支配しているマスの数が多いので、スペースで勝ってます。
ただし、まだ3手目ですのでスペースで黒も挽回可能でしょう。
スペースだけで局面の優劣が決まるわけではありません



8.Bd2


8手目の局面でスペースを比較してみましょう。

白 10マス: a5 x 2、b5、 c5 x 2、 d5 x 2、 e5、 f5 x 2
黒 10マス: a3、 a4 x 2、 b4、 c4 x 2、 e4、 f4、 g3、 h2  

スペースでは互角になりました。しかし黒は Bd6 が d6 ポーンの前進を妨げているのが良くないでしょう。



13.cxd3


 13手目、白のセンターポーンが強力です。スペースを比較してみると

白 14マス: a5 x 2、 c5 x 3、 c6、 c7、 d5 x 2、 e5 x 2、 f5 x 2、 g5
黒 8マス : a3、 a4 x 2、 b4、 c4 x 2、e4、 f4

スペースでは白が勝ってます。しかし Spike1.4 の分析を見ると黒が若干良いようです。白の利点としてはハーフオープン c ファイル、センター支配。一方、黒の利点はビショップペア、ダブルポーンや孤立ポーンができてないこと。

スペースで劣っていても黒はまだ十分戦えるのですが、この後 黒はビショップペアの
利点を失い、白にスペースの利点を生かされ負けてしまします。
Stockfish AI レべル 6 vs. hitsujyun 1-0


スペースで勝っていると何故有利なのでしょうか?
ピースの可動性が高まり、ピースを活用しやすい
相手の駒の動きを制限させる

からです。

自陣のスペース ( 白なら 1st ~ 4th ) は考えなくて良いのか? と始め私は思っていましたが、相手陣地の支配が自陣のスペースに影響するため、相手陣地の支配を比べればスペースの優劣が分かるのです。


スペースで勝っている側

不要な駒交換を避ける
スペースで勝っているとピースを活用しやすくそれが有利に働くので、不要なピース交換を避け活用することを考えます。また相手陣地を支配しているポーンを交換することは自分側のスペースを減少させたり、オープンファイルができて相手が駒交換しやすくなったりするので、状況を見て適切に対応しましょう。

あくまでこれはスペースの優劣を考えてのことですので、Tactics や他のことを考えた上での駒交換は問題ありません。

スペースをさらに得ていく
ポーンを進めたり、相手陣地へピースの利きが増えるようにします。相手陣地にある
ポーンは反撃を受けやすいこと、キングの安全性 や 駒損 等に気をつけましょう。


スペースで劣っている側

適切な駒交換を行う
ピース交換を行えば相手の有利を減少させられます。特に相手スペースを減少させることになる駒交換は有効な場合が多いです ( 他の状況もよく考えて行う )。
スペースで劣っている側の陣地を支配している相手のポーンを、自分側のポーンと交換することで相手のスペースを減少させられるなら、交換した方が良いでしょう。
やはりこれも他の状況をよく考えて。

相手のスペースを減少させる
上記のことと重複しますが、相手スペースが減少する駒交換を行ったり、相手ピースを後退させたり、相手ピースの利きをそらしたりブロックします。

自分側のスペースを増やす
ポーンを進めたり、ピースの位置を良くすることが考えられます。



13.cxd3


この局面では白の方がスペースで勝っていることが分かりました。次は、スペースから白黒それぞれの戦略を考えてみましょう。


不要な駒交換を避ける
黒のビショップペアを解消させる
ハーフオープン c ファイルを活用する
ピースを活用しやすいためスペースのある方で攻めていくのが基本なので、a サイドで
攻めることを考える
黒が ...Be7 の後、ポーンを進めてセンターで反撃してくることが予想されるので、適切に対応する

など



13.cxd3



駒交換を行い白のスペースを減少させる
可能な限りビショップペアを保つ
Be7 の後、白のセンターポーンに反撃する
スペースのある a サイドで攻める
など


一般的には a サイド、h サイドより、センターでスペースを得ることの方が重要
なります。

センターでスペースを得るために ( センター支配でもある ) c ~ f ファイルでポーンを2マス進めることを考えましょう。 c ~ f ファイルで2マス進めたポーンが1つもないと
スペースで不利となる場合が多いでしょう。

c ~ f ファイルでどのポーンを2マス進めれば良いかを考えるだけでなく、2マス進めたポーンの隣ファイルのポーンも2マス進めることも考えましょう

白であれば
e4 d4
c4 d4
e4 f4

などとすることを考えます。

c4 d4 e4 のように c ~ f ファイルで2マス進めたポーンが3つあればさらに良いでしょう。

相手がポーンを2マス進めてきたら、その隣ファイルのポーンも2マス進めてくる可能性があるので、気をつけましょう。


最後に、スペースで劣っている方が勝つゲームを見てみましょう。スペースだけで勝敗が決まる訳ではないことが分かります。よくある5つのゲーム展開に出てきたゲームですがスペースに注目して見てください。

tapirus vs. GM LuckyTiger 0-1
http://www.chess.com/echess/game?id=58010776

スペースで不利な黒が上手く駒交換を行なっていることが見てとれます。
 B vs. N のエンドゲームで白はダブルポーンができていること、白マスビショップは
黒マスにあるポーンに対して無力となっていること、が不利となってます。


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