オープンファイル


R1400 ぐらいまでのプレイヤーと R1500 以上のプレイヤーのゲームを見ていて
感じることの1つに オープンファイル と ハーフオープンファイル の活用があります。
R1500 以上のプレイヤーは大抵オープンファイルを活用することを意識してます。

オープンファイル と ハーフオープンファイル を活用することを覚えましょう。


何故オープンファイルを活用することが大事なのか?

オープンファイルを支配することにより、相手の駒の動きを制限させる
攻撃に活用できる
7th ランクにルークを運んだり、相手のバックランクの弱さを攻めるため

オープンファイルの支配に遅れをとると不利を招く場合があるため、オープンファイルの支配に十分注意しましょう。




「 ルークはオープンファイルを好む 」 と言われ、オープンファイルがあったら
オープンファイルにルークを持っていき、オープンファイルを支配、活用することを
考えましょう ( 状況を見て )。

上図のように1つのオープンファイルがあると大抵ルークの交換がおきます。何故なら、相手にオープンファイルの支配を許してしまうと不利を招くため、必然的にルーク交換となる場合が多いからです。




説明上、極端な例ですが、白はすでにルークをオープンファイルに重ねているため、黒は ...Re8 とすることができません。よって白は 7th ランクにルークを運ぶことが可能です。

黒が ...f6 から ...Kf7 としてルークを交換しようとしても Re7+ とされると黒は b7 ポーンを失います( 下図 )。







上図のように Rf8 → Rd8、 Kg8 → Kf8 とすれば黒はルーク交換が可能で、このような場合もあります。




お互いオープンファイルにルークがある場合、自分から相手のルークを取った方がいいのか? 相手に取らせるようにした方がいいのか? ということが考えられます。



1.Rxe8 Rxe8


自分 ( 白 ) から先にルークを取ると上図のように、一時的でも相手 ( 黒 ) にオープンファイルを支配されるので、自分が先に取るより、相手に先に取らせるようにした方がいい場合が多いです。



2.Kf1 Kf8 3.Re1


問題なさそうに見えますが、手番の黒は 3...Re7 4.Rxe7 Kxe7 のように少しでも有利にルーク交換しようとすることも可能です ( 交換を利用してキングを前に進ませる )。




どちらが先手であっても、自分から先にルークを取ることで、相手キングを後退させられるので、先に取った方がいい場合です。 

先に取らねばならないこともありますので、状況をよく見て判断しましょう。


ハーフオープンファイルの活用

ハーフオープンファイルは相手側のポーンしかないファイルのことで、ハーフオープン
ファイルにルークを運び活用することがよくあります。オープンファイルだけでなく
ハーフオープンファイルを活用することも考えましょう。

GM VovAn1991 vs. mahdiesmaili 1-0
http://www.chess.com/echess/game?id=68946186

8.fxe4 の局面


参考例1 のゲームです。白は f ファイル、黒は d ファイルがハーフオープンファイルと
なってます。まずハーフオープンファイルができた場合は、それに気づくことと、活用することを考えましょう。白ならば f1 にルークを運ぶことを考えます。

f1 にルークを運んでも f6 のポーンはしっかりと守られているため、無効に感じるかも
知れませんが、f1 にルークを運ぶことでルークを活用させることにつながります。
すぐ Rf1 とできなくても、Rf1 とすることを考えておきましょう。

また相手にハーフオープンファイルがあるときは、相手がそれを活用してくることが考えられるため、注意しておきましょう。上図であれば d4 ポーンが攻撃されたり、なくなった場合など。



8...e5 9.dxe5 fxe5


早速 黒は d4 ポーンを攻撃してきました。 Nd3 がピンされた状態なので白は Nxe5 と
できません。d と f ともに、ハーフオープンファイルがオープンファイルになりました。



10.0-0-0


白は上手いタイミングで 0-0-0 。ルークを連結させることができ、Rgf1 とすることも可能になりました。 


どこにオープンファイルを作るか?

ルークを オープンファイル や ハーフオープンファイル に運び活用することは分かったと思います。それではどこにオープンファイル や ハーフオープンファイルを作ったら良いでしょうか?

始めはゲームの流れで自然にできたということが多いでしょうが、戦略的に考えるなら
どこのファイルに オープンファイル や ハーフオープンファイルができるかを考え、意図的に作れるようになりましょう。

参考例1 のゲーム


通常のチェスならば各オープニング ( 定跡 ) ごとに オープンファイル や  ハーフオープンファイルができるファイルがある程度決まってます。

しかし Chess960 では駒の初配置が異なるため、どこにオープンファイル や ハーフオープンファイルができるかすぐには分からないでしょう。相手の駒の進め方によっても変わってきます。

数手進んだ局面になると、どこにオープンファイル や ハーフオープンファイルができるか、ある程度分かってきます。



6.f3 の局面


まだ6手目ですが、どこにオープンファイル や ハーフオープンファイルができるか、だいたい分かってきます。白 e2 → e4、 黒 e7 → e5 または c7 → c5 の可能性を考えると、とりあえず c ~ f ファイルにハーフオープンファイルができそうです。

両プレイヤーともハーフオープンファイルを作ることを意識しており、あとはどのタイミングでハーフオープンファイルを作るかと、ハーフオープンファイルができた後、そのファイルを活用することを上図の局面から考えているでしょう。



6...c6 7.e4 dxe4 8.fxe4


早くも 黒 d ファイル、白 f ファイルにハーフオープンファイルができました。
この後の展開は、先ほどのハーフオープンファイルの活用のところで扱いました。


開きそうなファイルにルークを配置する

参考例2のゲーム 28.Rh1 の局面


黒が ...g5 としてきて hxg5 hxg5 となると、h ファイルがオープンファイルになるため
オープンファイルの支配に遅れをとらぬよう Rd1 → Rh1 としました。

このように開きそうなファイルにルークを配置するのも大事なことなので覚えておきましょう。



33.Rxh8 Rxh8


28.Rh1 の時はまだ互角でしたが、上図の局面では h ファイルを支配しており、スペースでも有利を得ている黒が少し良いです。白はこの後 苦しい展開となり、負けてしまいます。黒の攻め方が上手いです。

続きはこちら ( 33...Rxh8 からご覧ください )
FTCarioca vs. NM mrbill 0-1


始めは オープンファイル と ハーフオープンファイルを上手く活用できなくても、活用する意識を持つことと、マスターのゲームでどのようにオープンファイルが活用されているか注目して見るときっと学ぶことがあるでしょう。


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