Weak Squares


孤立ポーン、Backward ポーン、ダブルポーン、など弱いポーンは分かりやすいですが
Weak Squares ( 弱いマス ) というのは始め見つけづらかったり、始めて知ったという方もいるでしょう。

ポーンが動くことにより弱いマスができますので、参考例を見ていきましょう。



Nf3 が Bg4 でピンされることを防ぐためによく h3 としますが、h3 とすることで g3 のマスが弱くなります。上図のように f2 ポーンがビショップにピンされていると黒は g3 にピースを置くことができます。ちなみに g2 ポーンが Qg3 にピンされているため、...Rxf3 も可能です。




1...Bxg3 2.fxg3 Qxg3 白はポーン1つ損します。
h2 にポーンがあればポーンを失わずに済みます。





こちらは Weak Suquares とは別のことになりますが、一緒に覚えておきましょう。
h3 としたことで h3 ポーンが攻撃目標になるということです。

...Bxh3、 gxh3 Qxh3 または ...Bxh3、gxh3 Rxf3 が可能です。





h3 ポーンが 黒 g4 ポーンをぶつける攻撃目標となってます。

これらは h3 とすることが悪いと言っているのではなく、h3 とすることで g3 のマスが弱くなったり、h3 ポーンが攻撃目標となるので気をつけましょうということです。




g3 としたことにより f3 と h3 のマスが弱くなります。Bg2 があるうちはいいですが
Bg2 がなくなれば f3 と h3 は弱くなります、黒に白マスビショップがある場合は特に。




g3 ポーンが h4 ポーンをぶつける攻撃目標となってます。g3 ポーンに f4 ポーンをぶつける場合もあります。



Hole ( ホウル、穴 ) の見つけ方

Hole はポーンで守れなくなった弱いマスのことで、 主に 3rd ランク と 4th ランクにできます。 1st ランク と 2nd ランクは始めからポーンの利きはないため除外します。

自陣 ( 3rd ランク と 4th ランク ) に Hole ができると相手はその Hole にピースを運び活用してくることが考えられるので、不要に弱いマスを作ってしまわぬよう気をつける
必要があります。また自陣の Hole をピースで守ることも考えましょう

相手陣地 ( 5th ランク と 6th ランク ) に Hole があるのを見つけたら、自分のピースをその Hole に運び活用することを考えましょう


白の Hole: e3
黒の Hole: a6、e6

Hole ( ポーンで守れなくなったマス )  は、1つのファイルの両隣のファイルでポーンが動いているとできます。上図であれば、e ファイルの両隣でポーンが動いているので
e3 が Hole になります。

a と h の端列ファイルの場合は、b または g ポーンが動くと a ファイル、h ファイルに Hole ができます。

c6 のマスもポーンで守れなくなっており Weak Square に変わりありませんが、ポーンがあるため一般的には Hole と呼ぶより Backward c6 ポーンは弱いと見るでしょう。

Hole がないファイルを知っておくのも Hole を見つける時に役立ちます。それは、ポーンが動いてないファイルの隣ファイルには Hole はない、ということです。
上図であれば、a2、b2、e2、g2、h2 ポーンは動いてないので、それらのポーンの隣ファイルに Hole はありません。 


練習問題

3rd ランク と 4th ランク、及び 5th ランク と 6th ランク でポーンで守れなくなったマスを探してください ( 解答は後で出てきます )。


参考例2 のゲーム 22...g6 の局面




参考例3 のゲーム 17.0-0-0 の局面




参考例4 のゲーム 17...Ng6 の局面




練習問題 解答


白 a3、c3、d3、e3、g3
黒 a6、a5、b6、c6、d6、e6、f6、h6

d3 のマスはポーンで守れなくなってますが、2つのルークに守られているため今のところ問題ありません。同様に e3 と g3 のマスも Kf2 に守られており特に問題なさそうです。

どちらも活用できる弱いマスは今のところなさそうです。 Nc3 を a4 → b6 に運んでも役に立ちそうにありません。ハーフオープンファイル上にある 黒 d6 ポーンは弱いですが
黒キングとルークで守られているのと、白はナイトで d6 ポーンを攻撃できないため
とりあえず大丈夫そうです。

a6 ポーンは孤立ポーンとしての弱さがあります。

白は e3 → e4? などとすると d4 が Hole となり 黒 Nd4 を許すため、e3 → e4 は
避けた方がいいでしょう。

続きは下記にて ( 22...g6 からご覧ください )




白 a3、b3、b4、c3、d3、d4、e3、f3、f4、g3、h3、h4
黒 a6、b6、c6、d6、d5、e6、e5、f6、h6

白黒ともに進んだポーンが多いため、ポーンで守れなくなったマスも多いです。

d5 のマスは白にとって強力なマスですが、白は d5 にピースを運んで活用することができません。一方、黒は b4、f4 にナイトを運んで活用することができますし、Bd8 → g5 → e3 とすることも考えられます( Bad Bishop の活用 )。

白にとって d5、黒にとって b4、c3、e3、f4 これらのマスは outpost ( アウトポスト、拠点 ) と呼ばれ、ピースを運んで活用するマスとなります。そしてもう1つ注目しておきたいことに、5th ランクの outpost より、6th ランクの outpost の方が相手陣地の奥へ入っているため、より強力になります。
上図であれば d5 より c3 と e3 の outpost の方が強力です

c3 のマスは Bb2 と Ne2 の利きがあり、なおかつ c3 にピースを運ぶことができないため、e3 のマスの方が outpost としては活用しやすいです。しかし c3 のマスを支配していることは、白が c3 にピースを運べないため有効です。

6th ランクでセンター付近にあるナイトはルークに匹敵すると言われ、6th ランクの outpost にナイトを運び活用することがよくあります ( 上図では c3 と e3 が黒にとって 6th ランク )。

その後の展開は下記にて ( 17.0-0-0 からご覧ください )




白 a3、c3
黒 b6、d6、d5、e6、f6、f5、g6、h6、h5

黒の方がポーンで守れなくなったマスが多いです。白は f4 のマスを g3 として守ることは可能ですが、...hxg3 fxg3 となると h3 ポーンを守る必要が出てきます。

マイナーピースが良い働きをしていて、オープン d ファイルを支配している白が有利です。白はこの後 主導権を握り上手く攻めていきます。参考例4のゲームはすでにご覧になっていると思いますが、Weak Squares をどのように活用しているか注目してご覧ください。

続きは下記にて ( 17...Ng6 からご覧ください )
http://www.chess.com/echess/game?id=45781396


Weak Color Complex
( Complex は複合の意味 )


ポーンが片方の色に多くあると、弱いマスが出てきます。上図では白のポーンは全て白マスにあるため、白は黒マスに対して弱いです。このように片方の色のマスに対して弱さがあることを Weak Color Complex と言います

白に黒マスビショップがなければさらに黒マスが弱くなり、白に黒マスビショップがなく
黒には黒マスビショップがある場合はもっと白は黒マスが弱くなります。

白の戦略としては黒マスビショップを残して黒マスを弱くしないようにすること。
黒の戦略としては白の黒マスビショップをできればナイトと交換すること ( 状況による )、黒マスビショップは黒にとって Bad Bishop ですが、c1 - h6 ラインで活用すること。
などが考えられます。



16.fxg4 の局面 ( 参考例3 のゲーム )


ピースがあるとこうなります。白は黒マスが弱いので、黒は Nb4、 Nf4、 Bc7 → d8 → g5 などが可能です。



孤立ポーンの前のマスは弱い


孤立ポーンの d4 ポーンはポーンで守ることができない弱さを持っていますが、孤立ポーンの前のマスである d5 も白はポーンで守ることができないため、黒は d5 のマスに
ナイトなどのピースを置いて d5 のマスを活用できます。黒ならば d4 ポーンを狙うだけでなく、d5 のマスを活用することを考えましょう。

孤立ポーンに限らず、ポーンの前のマスは潜在的な弱さを持ってます。


Backward ポーンの前のマスは弱い


Weak Color Complex の説明で使った局面ですが、別の見方として、Backward ポーンの前のマスは弱いということに注目してみましょう。

白 b3、 d3、 h3 が Backward ポーンですが、その前のマス b4、 d4、 h4 が弱いマスなのが分かります。

黒 b6、 c5、 e5、 h7 も Backward ポーンで、c4、 e4、 h6 のマスが弱くなってます。
b5 のマスは a6 ポーンの利きがあるため、弱くなっていません。

相手の Backward ポーンの前のマスを活用することを考えましょう。
自分の Backward ポーンの前のマスを相手に活用されないように注意しましょう。


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