Blockade ( ブラケイド ) は相手パスポーンの前方にピース ( B 、 N 、 R 、 Q 、 K ) を配置して、相手パスポーンの前進を防ぐことです。相手にパスポーンができた場合は、可能ならば Blockade でパスポーン前進を防ぎましょう。
黒 d3 のパスポーンが孤立ポーンの場合、黒は d2 のマスをポーンで攻撃することができないため、白は d2 にピースを置いてパスポーンの前進を防ぐことができます。
ナイトで Blockade するのが有効な場合は多いです。もし黒側に黒マスビショップがある場合は、Nd2 が攻撃されるため、始めから白マスの d1 にナイトを置いて Blockade した方がいいでしょう。しかし、Bd4 とされると、Nd1 の動きが封じられます。
できればマイナーピース ( N 、 B ) で Blockade した方がいいですが、メジャーピース ( R 、 Q ) で Blockade する場合もあります。メジャーピースで Blockade するとメジャーピースの利きの多さを活用できなくなります。メジャーピースはなるべく攻撃で活用したいです。
黒にナイト、黒マスビショップ、クイーンのいずれかのピースがあれば Rd2 は非常に攻撃されやすくなってしまいます。また、黒が d3 ポーンを守っている状態で ...Rc2 や ...Re2 とされる可能性もあります。
お互いルークが残ったエンドゲームなら、ルークで Blockade する場合もあります。
しかし、ルークが活用しづらくなります。
ルークは基本的に自分側 ・ 相手側パスポーン、どちらに対しても、後方に配置した方が良い場合が多いです。もちろん状況次第なので、パスポーンの前方や横方向にルークを配置する場合もあります。その辺はエンドゲームを学ぶ必要があります。
一時的にクイーンで Blockade することはあると思います。しかし、クイーンでずっと Blockade しているのは良くないでしょう。黒側にクイーンがあれば ...Qc2 や ...Qe2 で交換を迫られます。また、その交換を避ければ d3 → d2 となります。
クイーンは防御にも使いますが、攻撃で威力を発揮します。
キングで Blockade することもありますが、キングの活用が妨げられるのと、ツークツヴァンクでキングの動きを強いられることがあります。
実際のゲームから Blockade の例を見ていきましょう。
例1 21...exf3 の局面
GM LuvkyTiger vs. wondering0 1-0
ポーンストラクチャー の記事内にあったゲームです。白は exchange up ( マイナーピースとルーク交換 ) してますが、黒は f3 のパスポーンがあり、h ファイルでもう1つパスポーンを作れそうです。Spike 1.4 の分析を見ると互角のようです。
白は f3 のパスポーンをナイトとビショップどちらでも Blockade できますが、ビショップを活用できるように、Bg1 を展開してから Nf2 で Blockade します。
22.Be3 Bc4 23.Nf2
黒側には黒マスビショップがないため Nf2 をビショップで攻撃することはできませんが、...Ng4 とできれば Nf2 の交換を迫れそうです。それでも Be3 が f3 ポーンを Blockade できます。
黒は ...Be2 とすればビショップの活用度は落ちるものの f3 のパスポーンを守ることができます。黒が ...Be2 としたら白は Rxe2 fxe2、Kxe2 とすることもできそうですが、h サイドで Pawn Majority がある黒に都合が良くなりそうです。
黒は e5 → e4 として f3 を protected passed pawn にしたいですが、...e4 とするのは厳しそうです。e4 には Nf2 の利きがあり、黒の e ポーンはハーフオープンファイル上の Backward ポーンとなっている弱さ、e4 ポーンをナイトで守ることができても e4 を守っているナイトは黒マスにあるため、白側の黒マスビショップにそのナイトを攻撃されること、などの理由です。
e4 とできる可能性としては、...b6 としてから白マスビショップを b7 に運び、e4 ポーンを守ることでしょう。しかし、白 Rh1 とされると 黒 h5 ポーンが攻撃されるため、Bc4 → Be6 → Bg4 とすべきようです。
他にも考えられることはいろいろありますが、この辺にしておきます^^; もし短時間のゲームであれば気づくことは少ないでしょうが、ある局面について時間をかけて考えると、気づくことが結構あって勉強になるだけでなく、面白いです。戦略を学ぶと気づくことが多くなり、それが勝率を上げるだけでなく、チェスの面白さを高めてくれます。
続きがどうなるかは先程のリンク先からご覧ください。Blockade がゲームにどのような効果を与えているか注目してみてください。
例2 24.Bxd1 の局面
NM Ty_Twadd vs. charlierock 1/2 - 1/2
ポーン数は同じですが、白は孤立ポーンが3つ、ダブルポーンが1つ。Pawn Islands が白は4つ、黒は2つで、ポーンストラクチャーとしては黒の方がいいです。
白は h サイド、黒は a サイドで Pawn Majority を持っているため、両者パスポーンをいかに作るか、相手にパスポーンを作らせることをいかに防ぐか。
opposite colored bishops ( 異色ビショップ ) のエンドゲームのためドローになる可能性が高そうです。実際ドローになったのですが、もしこれが自分のゲームで、ネット対戦だとしたら、ドローになる可能性が高いと思ってもハッキリとドローの形になるまでは指し続けるべきです。
OTB であれば Rating やポイントを考えて、または次のゲームに向けて疲労を軽減させるためにドローにすることもありでしょうが、ネット対戦であれば Rating を気にするよりも、指し続けてこの局面から経験を得ることの方がはるかに大事です。たとえミスして負けたとしても安易にドローにするより学んだことがあるはずです。
47...Ke7
最終局面 54...Ba7
55.Kxc4 で白は2つのポーンが残っても、パスポーンを無事に昇格させることができない状況のためドローです。
例3 28...Nxd5 の局面
NM Ty_Twadd vs. puiuus 1-0
白は h サイド、黒は a サイドで Pawn Majority があります。白は 29.Nxd5 とすることができますが、交換を避けナイトを活用することを考えます。
39...d4
ナイトの活用が上手くいったようで、白はポーン2つ多くなり優勢です。黒は d4 のパスポーンを昇格させたいところですが・・・
40.b3 d3 41.Nc5 Rd6 42.Kc1 d2+ 43.Kd1 下図
最終局面
黒は d ポーンを白キングに Blockade され 白 Ne4 とされると d2 ポーンを失います ( Nxd2 とする場合はルークにピンされた状態になるので要警戒 )。ここで黒リザイン。
参考例が少なかったですが、相手にパスポーンができた場合は Blockade を考えること、もしくは相手にパスポーンができそうな場合は Blockade できるか事前に考えおく
習慣を見につけましょう。
コメント
コメントを投稿