苦手分野の改善

※ 内容が多岐に渡り要点をつかみづらいため、数回に分けてご覧いただいた方が
良いかも知れません。


チェスに限らず、長所を伸ばした方がいいか、短所を減らした方がいいか、という話を
見かけます。ケースバイケースでしょうが

A Guide To Chess Improvement - Dan Heisman の本で下記を見てから
その考え方に従うようになりました。

" To achieve improvement, your efforts must include a balance of:
A. theory and practice, and
B. adding positive and subtracting negatives. "

意味するところは、改善するためには
理論 と 実践
良い面を吸収し、悪い面を減らすこと
それぞれバランスが大事

ということです。

長所を伸ばすのは大事ですが、短所を放置していると改善できません。
また、短所を減らすことだけを考え、本で学んだり、実力が上のプレイヤーから教えて
もらったりなど、新しい知識を得ようとしなければ実力も伸び悩むでしょう。

長所を伸ばすことについて、ここでは詳しく取りあげませんが、タクティクス、戦略、エンドゲーム、どれかの能力が高ければさらにその能力を伸ばしていくようにすることと
それを生かしたゲーム展開をすべきでしょう。 自分の得意な戦い方 の記事もご参考にしてください。

一方、短所を減らしていくには、苦手分野の改善 や、ゲームの見直しが必要です。
ゲームの見直しについては別記事で扱いますので、本題の 苦手分野の改善 について考えていきます。

まず苦手とするものはどんなものがあるでしょうか?

オープニング
苦手、または勝率の悪いオープニング
白番、黒番、どちらの勝率が悪いか?
苦手とする状況
定跡を覚えられない


ミドルゲーム
何を指せば良いか分からなくなる
どう攻めていけば良いか分からなくなる
駒損してしまう
戦略が分からない
苦手とする状況
ミドルゲームで逆転される


エンドゲーム
苦手とする状況
そもそもエンドゲームが苦手

タクティクス、 戦略


タイムマネジメントが悪い
集中力が途切れる

など。他にもいろいろあると思いますが、苦手分野を改善させていくには、まず自分で
改善策を考えることと、もし自分で良い改善策が浮かばなければ、自分より実力が上のプレイヤーにアドバイスを求めたり、実力が同じくらいのプレイヤーであっても、他のプレイヤーはどうしているか聞いてみるといいでしょう。

上記の苦手となりそうな事柄について、私なりに改善策を考えてみました。
あくまで参考としてご覧ください。


苦手、または勝率の悪いオープニング
そのオープニングで何が苦手、または勝率を悪くしている原因を探りましょう。例えば、定跡を覚えていなくて不利となる、覚えづらい定跡、変化が多過ぎる、攻めづらい、攻め方が分からない、相手によく攻め込まれる、閉じた局面で戦いづらい、など。

原因が分かれば改善策を思いつきやすいです。定跡を覚えていなくて不利となるなら
少しずつ定跡を覚えていけば良いでしょうし、駒損して不利となることが多いなら、タクティクスを扱った本などで勉強してタクティクスの能力を上げれば、駒損を回避しやすくなるでしょう。

また、相手の応手を考えず駒損していることも考えられますので、自分の手を指す前に、その手を指したら相手は何を指してくるか? 必ず考えましょう。
少なくとも 「 駒損しないか? 」 確認するようにしたいです。自分が指す手のことばかり考えていると、防御がおろそかになりがちです。

覚えづらい定跡は、覚えやすい定跡のものに変えていくのも1つの方法です。
局面を見て指し手の目的を理解しやすいものは定跡を覚えやすいです。
Gambit 系は面白いですが、定跡を覚えづらい面があります。

変化が多過ぎるオープニングは、いろんな局面を経験できる一方、定跡を覚えづらい
です。変化が比較的少ないオープニングに変えていくのも1つの方法ですが、若い人であれば、いろんな局面を経験した方が良いでしょう。自分がチェスにかけられる時間に
対して、オープニングレパートリーを調整する必要があります。どう調整したらいいか
自分で分からない場合は誰かに聞いたり、相談しましょう。

定跡を見ても攻めづらい感じがするなら、他のオープニングに変えていった方がいいかも知れません。

攻め方が分からないのは、メイト問題 や タクティクス問題を解くことで、パターン認識が高まり、徐々に攻め方が分かってくるでしょう。1つ気をつけておきたいのは、chess.com の Tactics Trainer や アプリ などのタクティクス問題は、1手ごと駒が動いてしまう
ので、読みの能力向上を妨げます。それだけでタクティクスの勉強を済ましてしまわないようにしましょう。パターン認識力を上げる効果はあり、問題数をこなすのには役立ちますので、本でタクティクス問題を解くこととバランスを取りましょう。

このサイトで基礎的な戦略について学ぶと、攻め方についても徐々に分かってくると
思います。ただし、R1400 ぐらいになるまでは戦略より、基礎的な タクティクス と エンドゲームを勉強することを優先させましょう。

オープニングで相手によく攻め込まれるのは、相手の狙いに気づいていなかったり
相手の狙いへの対応が悪いことが考えられます。自分が指す手のことだけを考えず
相手の指し手の狙いを考え、適切な対応、防御を行いましょう。ゲーム中に上手く対応
できなかった場合は、ゲーム後の見直しでどうすれば良かったか自分で考えたり、チェスソフトの分析を参考にすると改善につながります。

閉じた局面で戦いづらいのは、ピース展開しづらいのと、閉じた局面は戦略的要素が
高くなるため、戦略について知らなければどうすれば良いか分かりづらいことが考えられます。このサイトで基礎的な戦略を学ぶと、閉じた局面でも対応しやすくなると思います。

私は閉じた局面がいまだに苦手ですが、このサイトを作る過程で、自分自身 戦略に
ついてかなり勉強になったため、閉じた局面への対応が改善されていきそうです。
また、チェス オープニング入門のサイトで 1.d4 d5 Closed Games  のオープニング解説を作成していくことが閉じた局面の勉強になると思ってます。


白番、黒番、どちらの勝率が悪いか?
これは先程の、苦手、または勝率の悪いオープニングが影響している場合がほとんどだと思います。


苦手とする状況 ( オープニング )
オープンな局面、閉じた局面、複雑な局面、Gambit 系 、知らないオープニング、など。

オープンな局面になると、相手にタクティクスを決められて不利となることが多いという
プレイヤーの方もいるでしょう。オープンな局面より、閉じた局面の方が好みであれば
白番で 1.d4 から始まるオープニングを使っていくことが1つの方法です。その場合、戦略について学んでいくことも必要です。またタクティクスは常に重要なので、タクティクス問題を地道に解いていくなど、タクティクス能力を伸ばしていくことをおろそかにしないようにしましょう。

大抵は単純な局面より、複雑な局面の方が苦手だと思いますが、単純ゆえに難しい
ということもあります。複雑な局面になることをなるべく避けて、単純な局面 ( 分かりやすい局面 ) になるよう駒交換を行なっていくことなど考えられますが、単純な局面にするためだけに駒交換を行なっていくのはオススメできません。これは有利を得ている状況で単純化していくこととは異なります。駒交換はよく理由を考えて行うべきで、駒交換が有利となるか、不利となるか判断せずに駒交換することは避けましょう。

マスターレベルになると、あえて複雑になる手を指すことで選択肢を増やし、相手のミスを誘うというような、複雑化もあります。
優勢の時は局面をできるだけ単純に、苦しい時はできるだけ複雑にもっていくという
ことが肝心 」 ( 集中力  谷川 浩司 著 から引用。チェスプレイヤーの方にもかなり役立つことが書かれており、オススメです! )

相手が Gambit を使ってきた時、勝率が悪いということもあるでしょう。 1.e4 e5 2.f4 の King's Gambit を苦手とする黒プレイヤーの方も多いのではないでしょうか? 
1つの対策としては、自分が白番で King's Gambit を使うことにより、黒番でも King's Gambit への対応が良くなることが考えられます。しかし、そのような方法は一般的ではありませんので、Gambit のオープニングに対して、本や定跡を参考にして、自分に合った指し手を選んでいくと良いでしょう。どの指し手が自分に合うかは、いろいろ試していく必要があり、そのような時に気軽にできるネット対戦を活用しましょう。

通常のチェスで、知らないオープニングに対しては誰でも始めは戸惑ったり、持ち時間を多く消費したり、ミスして負けることがあるでしょう。これは失敗を生かして、次回まである程度対策を考えておくようにしましょう。 Chess960 では常に知らないオープニングと
なりますので、1手ごと自分でよく考えていくのが当たり前になります。

通常のチェスで知らないオープニングになった場合、まず相手の狙いをよく考え、駒損したり、不利を招かないか安全確認するのが第1でしょう。その上で、センター支配、早期ピース展開、キングの安全性を考えた適切な手を指していきましょう。


定跡を覚えられない ( オープニング )
定跡など覚えず、自分で考えた手を指していく方が面白いですが、ある程度定跡を知っていた方が有利なのも事実です。始めは定跡を覚える必要はないという意見が多いようですが、私は少しずつ定跡を覚えていった方が良いと思います。オープニングの勉強に時間をかけ過ぎないようにする必要はありますが。

紙にオープニングツリーを書いて、少しずつ定跡を覚えていきましょう。忘れてしまうのは自然なことですので、覚えて忘れての繰り返しで記憶が強化されます。紙に定跡を書いておけば、忘れた時すぐ見返すことができて便利です。 「 オープニングツリーを作る 」 の記事をご参考にしてください。

定跡を忘れるより、忘れてならないのは、各局面について自分でよく考えるということです。

定跡を知っていたとしても、定跡で何故その手が良いのか理解しておきましょう。
本などで学ばなければ定跡の狙いやアイデアが分かりづらいものもありますが
このサイトで基礎的な戦略を学ぶと、定跡の狙いやアイデアが分かってくるものもあるでしょう。


何を指せば良いか分からなくなる
ポーンをいくつか進め、マイナーピースを展開し、キャスリングを済ました後、これから
どうすれば良いだろう? と思うことがあります。良く言われるのが、良い手を思いつかない時は、ピースの位置を改善させる、ということです。もちろんそれも役立つことですが、このサイトで戦略について学ばれた方は、戦略の基本 を思い出すことで、何を考えれば良いか気づきやすいのではないでしょうか? 戦略の基本を生かすためには、戦略例にある各戦略について知っておく必要もあります 


どう攻めていけば良いか分からなくなる
有利を得られるタクティクスはなさそうだし、どう攻めていけばいいのだろう? ということも戦略を学ぶ前は多いでしょう。戦略の基本 にあった、攻撃目標を定める や アイデアとプラン について考えると良いでしょう。攻め所が分かっても、読みが必要になってきたり、攻めのパターンというものを知っている必要もあるため、攻撃にはタクティクスの勉強が欠かせません。マスターのゲームを見て、攻撃をどのように組み立てているか
意識して見てみるのも良いでしょう。


駒損してしまう
中級者までの 敗因 No.1 ではないでしょうか。駒損は誰でも経験することですが、失敗を次に生かしていきましょう。ゲームの見直しをする中で、駒損した原因について考えてみましょう。

自分が攻めることなど、何かに気をとらわれていた
タクティクスに気づかなかった
相手の狙いに気づかなかった
読み間違えた
適切な手を指せなかった

など、駒損した原因が分かれば、同じ失敗を避けることにつながります。どうすれば駒損を防げたかを知るだけでは不十分で、駒損した原因について考え、どう考えれば良かったか? 自分で考えてみましょう。本でタクティクス問題を解く時、どうやって有利を得るかを考える前に、駒損しないか安全確認をする習慣をつけると良いです。


戦略が分からない
基礎的な戦略についてはこのサイトの内容で十分だと思います。より高度な戦略について学びたい場合は、トップページに記載されている主要参考文献などをご覧ください。


苦手とする状況 ( ミドルゲーム )
複雑な局面、 攻めづらい局面、 苦手なポーンストラクチャー、 どのマイナーピースを
残すか?、 クイーンがないミドルゲーム、 など。

候補手や相手の応手が多く、複雑な局面は相手にとっても難しいはずです。持ち時間にゆとりがあればじっくり考えたいところですが、あまりゆとりがなければ、まず駒損など
不利を招くことになる手は避けたいです。 ゲーム後の見直しでどうすれば良かったか
自分で考え、チェスソフトの分析も参考にして改善につなげましょう。

防戦一方になったり、攻めづらい局面というのもあります。スペースで相手が勝っている時や、閉じた局面の時が多いかも知れません。自分がスペースで劣っているなら、適切にピース交換を行なって相手の有利を減少させるのが1つの方法です。閉じた局面ではピースを好位置に運んでいく マヌーバー なども必要になってきます。ゲームの見直し時に、どのようなことが考えられるか、時間をかけて考えてみるのと、チェスソフトの分析を参考にしましょう。通常のチェスならば、自分に合った攻めやすいオープニングや変化を選んでいくということも考えてみましょう。

このポーンストラクチャーは苦手だな、というのもあるかも知れません。そのポーンストラクチャーにならない変化を選べるならそうした方がいいでしょう。そのポーンストラクチャーになった場合、どのような対応が可能かゲーム後に時間をかけてよく考えてみましょう。そのポーンストラクチャーのマスターのゲームがあるなら、マスターはどのようにしているか参考にしましょう。

どのマイナーピースを残すかがエンドゲームに影響してきます。始めは 駒交換 の記事を参考にしてみてください。不利となるマイナーピース交換をしてませんか? ポーン と キングだけになったらどちらが有利か考えていますか?

Queenless Middlegame については クイーン2 の記事で述べました。クイーンを交換せずに活用することも大事ですが、何かしら有利を得られるなら交換すべきですし、ネット対戦ならば上達するために Queenless Middlegame を経験していきましょう。
クイーンがなくなった後は、ピースをいかに活用するか、どのマイナーピースを残したいか、よく考えましょう。 


ミドルゲームで逆転される
オープニングで不利となることが減ってくるとミドルゲームの難しさを感じるようになります。オープニングで有利を得ていても、ミスをしたり、実力差があるとミドルゲームで形勢逆転となることも多いです。有利を得ている状況ならば、その有利を保ってエンドゲームに進むにはどうしたら良いか、よく考えましょう。タクティクスの能力を伸ばしていくことも大事ですが、基礎的な戦略が分かってくると、ミドルゲームのプレイが改善されるでしょう。


苦手とする状況 ( エンドゲーム )
ピース交換をよく考えれば、苦手なエンドゲームの状況を回避できることもあります。
例えば私はポーンが多く残った状態の N vs. B のエンドゲームで B 側を苦手として
ますので、N vs. B となる前に、自分が N 側 になることを考えたり、 N vs. N にできないか考えたりします。

苦手とするエンドゲームの状況を、エンドゲームの本で集中的に勉強するのも良いで
しょう。私はルークのエンドゲームが苦手でしたが、Starting Out: Rook Endgames - Chris Ward の本を読み、ルークエンドゲームでどうすれば良いかある程度分かってからは、ルークエンドゲームは面白いと感じるようになりました。ルークエンドゲームが難しいことに変わりはないですが。


そもそもエンドゲームが苦手
エンドゲームが苦手だったり、エンドゲームの勉強はつまらないというのをよく聞きます。エンドゲームについてはまずその重要性を理解しましょう。ミドルゲームまで有利を得ていても、エンドゲームでミスをすれば、勝てる状況がドローになったり、負けになってしまうこともあります。一方、勝てる状況だと分かっていれば、確実に勝利を得ることや、ドローにできる状況だと分かっていれば、確実にドローにできることもあります。

上達すればするほど、ミドルゲームまで大差がつくことは少なく、エンドゲームで勝負がつくということが多くなってくるでしょう。つまり、プレイヤーの実力が高くなるほどエンドゲームの重要性も増してきます。

エンドゲームが苦手な理由は何でしょうか?
エンドゲームの勉強をしてないから、どうすれば良いか分からない。
エンドゲームの勉強はつまらないからやりたくない。
エンドゲームの重要性は分かっているけど、勉強する時間がない。
エンドゲームで負ける、または不利となることが多い。

など、考えられます。他の理由があれば、その理由に対して改善策を考えてみてください。

チェスを始めてルールを覚えた後、何から学べば良いか? について意見は人それぞれです。エンドゲームを始めに学んだ方が良いという方もいます。
ご参考までに私の考えは

入門書 や チェス入門 のサイトでルール等を覚える
どうやってメイトするのかを学ぶため、1手、2手メイト問題をやる
オープニングでどうすべきかを学ぶ ( センターの支配、 早期ピース展開、 キングを安全にする )
オープニングの定跡を少しずつ覚えていく
基礎的なエンドゲームを学ぶ ( できればタクティクスと同時に学んでいく )
基礎的なタクティクスを学ぶ
1手ごと指し手を解説している本で学ぶ
中級者向きのタクティクスを学ぶ
基礎的なストラテジー ( 戦略 ) を学ぶ
マスターのゲームを見て学ぶ
エンドゲームストラテジーを学ぶ

各分野、自分の実力に合った、より高度なものを学んでいく

というような順で考えてます。話がそれてしまいましたが、それらの学習順序を考えた時、エンドゲームの勉強をしたいけど、まだ他のことを学んでいるなら、エンドゲームを
学ぶ段階になってから勉強することで問題ありません。

一方、エンドゲームを勉強する気持ちがない場合は、個人の自由ですからそのままでも OK ですが、エンドゲームの重要性を考えると、できればエンドゲームの勉強をするようにしていきたいです。少しずつでもエンドゲームの勉強をしていけば、少しずつエンドゲームでどうすべきか分かってきますし、エンドゲームのセンスが上がってきます。

基礎的なエンドゲームの本で勉強していけば良いのですが、勉強の仕方も大事になってきます。駒数の少ない基礎的なエンドゲームの状況を覚えていく必要はありますが、解答手順を見て、ただそれを覚えようとするのはつまらないですから、継続しづらいでしょうし、覚えたいという気持ちもわかないかも知れません。

学習速度を考えれば、機械的にパターンを覚えていくというのも1つの方法ですが、そのような方法ではいずれつまらなくなってやめてしまう可能性が高いです。チェスは考えるゲーム ですから、考えることを楽しみながら、必要なことを覚えていくと良いでしょう。

基礎的なエンドゲームの問題を解くとき

1. まず自分で考える
2. 自分なりの解答を得てから、もしくは分からなかったら、解答を見る
3. 解答を見て理解したら次の問題に進む。難しくて覚えられそうになかったら、無理して覚えようとせず、次の問題に進む。

時間がかかるとしても、自分で考えるということを行わないと、きっとつまらないのでは
ないでしょうか? 解答が分からなくても全く問題ありません。まず自分で考えたかどうかが大事です。解答を見て理解できないものがあっても気にしないようにしましょう。
基礎的なエンドゲームの本で問題を全て解き終わって、2回目にまた問題を解いていく時、1回目より理解しやすくなっているはずです。

難しい問題は実力が上がっていけば、できるようになったり、できなくてもそれほど問題にならないでしょう。

忘れることをあまり気にしない方がいいです。しばらくそのエンドゲームの状況を見なければ、忘れるのが自然です。ゲームの中で駒数の少ないエンドゲームの状況が起こったら、ゲーム後の見直しで、どうすれば良かったか? 本やチェスソフト、 Endgame Database ( Shredder のサイト、6駒までのエンドゲームに対応 ) で確認して覚えましょう。覚えて忘れての繰り返しで、記憶が強化されていきます。

エンドゲームを勉強する時間がないという場合。タクティクスなど他のことを勉強していて、今はエンドゲームの勉強をする時間を持てないなら、エンドゲームの勉強をできるようになるまで待てば良いでしょう。私は長い時間勉強するのは苦手なので、10分 ~ 15分の空き時間を利用してエンドゲームの問題やタクティクス問題を解くようにしてます。短時間の方が集中しやすいですし、問題数を多くこなせなくとも、継続は力なりで、続けていけばエンドゲームプレイが改善されていきます。

エンドゲームに入る前に勝敗がついたり、優劣がついてしまうこともあると思いますが、3 ~ 6駒の基礎的なエンドゲームを学ぶことは、ポーンが多く残っており、かつピースが 1 ~ 3駒程度のエンドゲームで戦略を考えるのに必要となってくる基礎知識ですので、おろそかにしないようにしましょう。

エンドゲームを苦手とすることが、単に基礎的なエンドゲームの知識不足とは限らず
相手の応手を考えなかったり、適切な対応 ・ 防御をしない、ことが不利を招いている
可能性もあります。タクティクスの能力不足という場合もあるでしょう。
戦略より大事なこと の記事を参考にして改善させましょう。


タクティクスが苦手
エンドゲームは各状況への対応法を覚えていれば、対応しやすいのに比べ、タクティクスは各種のパターンを覚え、それを実際にゲームの中で使うには、パターンに気づくかどうかです。パターン認識力を上げるためには、自分の実力に見合ったタクティクス問題を地道に問題を解いていくことが着実でしょう。始めは何のヒントもない問題を解くより、タクティクスの種類を知って、問題を解いていく方がパターン認識力が上がりやすいです。

タクティクスはパターン認識力だけでなく、読みの能力も問われます。読みの能力を向上させるためには、本でタクティクス問題を解くことです。実際のゲームでは行えませんが、変化が多い局面は、紙などに変化手順を書いていくと混乱せずに局面を読んでいけます。手間と時間のかかることですが、それを行うと読みの能力が向上します。

どのように考えるかという、思考過程も大事です。始めはあまり気にしないでいいですが、自分がタクティクスの問題を解くとき、どのようなことを考えているか注目してみると面白いですし、改善につながります。思考過程はプレイヤーの実力向上により、変わっていくでしょう。

思考過程は人それぞれだと思いますが、いくつかのことについて述べると、いきなり
最善手を探そうとするのではなく、まずその局面を見て、不利を招かないか安全確認すると良いでしょう。相手に何か狙われてないか? これを行なうと防御が良くなります。
自分が攻めることだけに気をとらわれると、相手の狙いに気づかず駒損してしまうことが多いです。

候補手を考える時は、check 、capture ( 駒を取る手 ) 、 threat ( 狙いがある手 ) の
3種類を先に確認した方が良いと言われます。チェック や 駒を取る手から タクティクス がきまるのに、それに気づかないということが結構あるからです。

「 良い手が見つかったら、もっと良い手を探せ! 」  と言われます。1つの候補手だけに気をとらわれると、視野が狭くなり、もっと良い手に気づかないということもあります。問題を早く解こうとすると、視野が狭くなる傾向がありますので、時間をかけて可能性のある手を探っていく、ということも大事です。この手がいいな、という手があったら、すぐその手を深く読んでいくより、他に可能性のある手はないか確認して、その中から優先順位をきめて考えていくと良いでしょう。

自分が指す手のことだけを考えず、相手がどう応じてくるか、相手の応手を考えるのを忘れないようにしましょう! 相手の応手は自分に都合よく考えてしまう傾向があります。相手にとっての最善手を考えましょう。

この手を指したら相手はこう指してきて、そしたら自分はこの手 ( ※ ) を指す、というところで終わらずに、 ※ に対して相手はどう応じてくるか、まで考えるのが基本です ( 少なくとも2手先まで読む。将棋だと4手先まで読むことに相当 )。

タクティクスはパターンに気づくかどうかと述べましたが、そのことから問題を解いた後、下記のことを確認すると改善につながります。

鍵となる手 ( key move ) は何か?
何に気づく必要があるか?
何故気づかなかったか?
どう考えれば気づけたか?


戦略が苦手
どんなことでもまずは基礎的なことを習得することで応用がきくようになります。基礎的な戦略についてはこのサイトの戦略例をご参考にしてください。1度に全部覚えようとするのは無理がありますので、ゲームで経験を積みながら、少しずつ戦略について考えられるようになりましょう。ゲーム後の見直しで戦略について考えることを続けていけば、きっと改善されていくでしょう。

戦略について考えられるようになると気づくことが増え、実力が向上するだけでなく
チェスの面白さが増してきます。


タイムマネジメント ( 時間管理 ) が悪い
考えるべき内容がいろいろあるので 別記事 にしました。そちらをご覧ください。


集中力が途切れる
集中力がある時は良い指し方ができますが、集中力が途切れてくるとミスをしやすくなります。チェスにおいて集中力はかなり大事なことです。集中力を保つことを考える前に、集中力に影響することを知っておきましょう。

体調
体力
姿勢
精神的なこと ( 気分、やる気、意識、無意識、楽しさ、快適さ )
時間
環境 ( 静けさ、物音、気温、場所、明るさ )
局面
相手

など。

集中力が途切れる時はどんな時でしょうか?

疲れてきた時
長い時間が経過した時
有利 または 優勢となり、油断した時、気がゆるんだ時
連続でゲームをしている時
集中力をそらす何かがある ( トイレに行きたい、電話がかかってきた、チャットで話かけられた )
時間を気にし過ぎ

など。

上記のことから、集中力を保つためにはどうすれば良いか? 対策が考えられます。

集中力を保つためには
体調が良いこと ( 体調を整えておくこと )
運動して体力をつけておく ( 体が疲れてくると集中力が落ちる )
自分にとって集中力が高まりやすい姿勢をとる
落ち着いた気分
リラックスした状態
気を休めることとのバランス ( 時間が長くなればなるほど )
有利 または 優勢となった時、注意すること
気が散ることの除去 ( ゲーム中、チャットは挨拶程度で済ます、など )
連続でゲームをやらない ( 休みを入れる )
疲れている時はやらない、疲れてきたら休む
食後、寝起き、就寝前はやらない

など。

局面に集中し過ぎて時間のことを忘れ、タイムプレッシャーがかかるようになることもありますので、残り時間のことを忘れないよう気をつけましょう。ただし、時間を気にし過ぎると集中力が薄れ、ミスにつながります。


多くのことを述べ過ぎましたので、要点がつかみづらかったと思いますが、ご参考になりましたら幸いです。

3ヶ月に1度くらいは、今 改善すべきは何か? を考えた方が良いと思います。


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